1. スライドはシンプルに

パワーポイントはスライドを横長方向で使用する。このソフトは、講演者や講演内容
を補助する視覚的情報を表示するのに便利なように設計されていて、スライド自身が
「ショーの主役」になるように作られているわけではない(「主役」は、もちろん聞
き手なのだから)。聞き手は、あなたに会い、あなたの言葉やメッセージに心を動か
されたり、新しいことを学んだりするために来ているのだ。スライドが不必要に複雑
だったり、ごちゃごちゃしていたり、エドワード・タフティが言うところの「ゴミグ
ラフ」でいっぱいになったりしていては、あなたのメッセージや話を伝える能力を脱
線させてしまう。スライドに不必要なものがあっては絶対ならない。
スライドには十分な余白や空間があるべきだ。空いたスペースを何とか埋めなければ
と、ロゴマークやその他の不必要な画像、またはこれといって理解の助けにならない
テキストボックスなどを入れてはいけない。スライドがよりシンプルであればあるほ
ど、その分視覚的なメッセージが効果的になるのだ。
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2. 箇条書きと文章量を制限する
講演は聞き手のためのものだ。けれども箇条書きだらけのスライドは聞き手を飽きさ
せるだけで、ほとんどためにならない。これは文章量についてもいえることで、もっ
とも出来のよいスライドには、テキストはまったく含まれていないだろう。最近は誰
もが文章過多のスライドに頼り過ぎているため、これは信じられないかもしれないが、
もっともよく出来たパワーポイントのスライドは、ナレーション(つまりあなた自身)
がなければ意味がないも同然なのだ。スライドは話し手を補助するためにあるもので、
話し手を不必要にするためではない、ということを心にとめておこう。
講演に来られなかった人はよくこんなことを言うだろう。「出席できなくて残念でした。すごく良かったそうですね。できればパワーポイントのスライドだけでも送ってくれませんか?」しかし、よくできたスライドなら、あなたなしではほとんど意味がないはずだ。パワーポイントのスライドよりも、講演内容の要点をまとめ、さらにその内容をふくらませた文書を事前に準備しておく方がはるかに役に立つ。聞き手にとっても、ただ単にパワーポイントのスライドを印刷したものより、講演内容をさらに詳しくまとめた印刷物を持ち帰る方がずっとよい。聞き手に、詳細をまとめた資料や出版物を講演の後に渡す用意をしていれば、パワーポイントのスライドを大量のテキストで埋めようとする必要もないのだ。
この内容については後のセクションでまた詳しく触れるが、テキストに関して必ず覚
えておくことは、聞き手に背を向け、スライドのテキストを一字一句読みあげるよう
なことは絶対にしてはならない、ということだ。
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このようなシンプルなスライドを目指そう
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このような文章過多の(そして眠気を誘う)スライドは避ける |
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3. 画面の切り替え効果とアニメーションを制限する 
スライドのアニメーションと画面の切り替え効果を使う時は注意しよう。箇条書きを
順に表示するアニメーションは、全てのスライドに使ってはいけない。多少のアニメー
ションは効果的だが、できる限りさりげなく、プロらしく(夜のニュース番組で見ら
れるようなやり方で)使うこと。シンプルな「左から右へのワイプ」(「アニメーショ
ン」メニューの一つ)は箇条書きに有効だが、「スパイラル」や「ターン」は長った
らしくて遅すぎる(にもかかわらず、最近の多くのプレゼンテーションで使われてい
る)。聞き手は、アニメーションを使ったスライドを次々に見せ続けられるとすぐに
飽きてしまう。スライド画面の切り替え効果は、せいぜい2-3種類以下に押さえるよ
うにし、全てのスライド間に効果を設定しないようにしよう。
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4. 高品質な画像を使う 
写真を含め、画像は全て品質の良いものを使うこと。自分のデジタルカメラで良いイ
メージを撮影したり、プロ用のストック写真集を購入したり、またインターネット上
に多量にある高品質な画像を使ったりするのもいいだろう(ただし、著作権の問題に
は気をつけること)。画質の低い小さな画像を決して引き延ばしてはいけない。解像
度をより悪くしてしまうからだ。
パワーポイントのクリップアートや、漫画のような線画は使わないようにしよう。繰
り返して言うけれども、ソフトウェアに付随したものは、見る人も何百回と目にして
いるのだ。1993年当時には興味を誘ったのかもしれないが、現在ではこういったクリッ
プアートを使うと、たいていの場合講演者のプロらしさを弱めてしまう。もちろん例
外はあるし、すべてのパワーポイントのクリップアートがひどいというわけでもない
が、使う時はとにかく注意深く慎重に使うこと。
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こうした安っぽいクリップアートは避ける。 |
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このような手を加えたストック写真の方がより効果的でプロらしく見える。
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わたしはよくスライドに「人」の画像を使う。「人」の写真を使うと、聞き手がスラ
イドにより情緒的に共感を覚えやすくなるからだ。写真の重要度が低い場合、わたし
は明るさを下げ、フォトショップの「ガウスぼかし」や「モーションブラー」フィル
タをかけてやる。写真が一番重要な場合は、聴衆に(製品の写真などに)注目してほし
いので、画像をより目立たせてテキストをほとんど(または一切)なくしてしまう。
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このスライドでは、画像が最重要だ。 |
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同じプレゼンテーションのこちらのスライドでは、イメージは補助的なため、フォトショップで事前に加工して後ろの方に「押しやって」いる。 |
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5. パワーポイントのテンプレートではないビジュアルテーマを使う

プレゼンテーション全体に渡り一貫したビジュアルテーマを使うべきだが、パワーポ
イントに入っているテンプレートのほとんどは、聞き手はすでに何度となく見たこと
があるものだ(それ以前にこれらのテンプレートはそれほどできのいいものではない)。
聞き手は、(少なくとも彼らにとって)新しく、独特の内容のプレゼンテーションを期
待している。そうでなければ、彼らはわざわざあなたの話を聞きに来る必要はないの
だ。聞き手は似たり寄ったりのプレゼンテーションには興味をそそられないので、パ
ワーポイントのデザインテンプレートや補助画像は避けなければならない。プレゼン
テーションが型にはまった既製品のように思わせてしまうからだ.
自分のニーズに合ったオリジナルのテンプレートを作ることも可能だ。作成したファ
イルをデザインテンプレート(.pot)として保存すれば、このテンプレートは次回以降
通常のパワーポイントのテンプレートに加えて表示されるようになる。また、専門家
が作成したテンプレートをオンライン購入してもよい(例えば、
www.powerpointtemplatespro.com など).
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6. 適切なグラフを使う
どれだけの情報が適切か、常に考えること。講演者は大抵、画面で表示されるグラフ
にデータを詰め込みすぎてしまうのだ。データをグラフにするには、いくつかの表示
方法がある。以下に留意すべき点を挙げる。
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円グラフ
割合を示す場合に使用する。割合の要素は4-6個に押さえ、色を変えたり位置をずらしたりして、もっとも重要な要素を引き立たせること。 |
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縦棒グラフ
時系列に量の変化を示す場合に使用する。棒の数を4-8本に限るともっとも効果的だ。 |
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横棒グラフ
量を比較する場合に使用する。例えば、会社の売上高を地域ごとに比較するなど。
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折れ線グラフ
傾向を示す場合に使用する。例えば、この図は毎年売上高が上昇していることを示す、単純な線グラフだ。良い傾向が示されている。この点を強調するためには、矢印を後から表示させるようにする。ほら、先行きは順調だ! |
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| 一般的に、テーブル(表)形式は数量的なデータを並べて比較する場合に向いている。ただし、テーブルは視覚的なインパクトに欠ける。例えば、あなたの貢献度が他の二つのグループに比べて著しく高いということを示す場合、棒グラフ(下段右)にして表示するのが最も効果的だろう。逆に、貢献度が他に比べて低いことを目立たせないようにしたいなら、テーブル形式にするとより目立ちにくく、より感情に訴えにくい表示になるだろう。 |
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7. 色をうまく使う
色は感情を引き起こす情緒的なものである。色をうまく使うことで、説得力を強くし
たり、興味をかき立てたりすることができる。調査によると、色の使い方によって関
心を強め、学習の理解力と記憶力を高められることが判明している。
色彩理論の専門家である必要はないが、ビジネスのプロとして多少の知識は持っておくべきだ。色は次の2つの一般的なカテゴリーに分類できる。寒色(青や緑など)と暖色(オレンジや赤など)だ。寒色は見ている人から背景方向へ遠ざかって見えるため、背景に使用するのが効果的だ。暖色は手前に向かってくるように見えるため、前面にあるもの(テキストなど)で最も効果的に働く。こうしたことを考えると、よくあるパワーポイントのスライドが青の背景に黄色いテキストの配色になっているのも不思議ではない。必ずしもこの配色を使わなければと思う必要はないが、このような配色にバリエーションをつけて使うとよいだろう。
大きなホールなどの暗い場所で講演をする場合、暗い(紺や灰色など)背景に、白や明るい色のテキストはよく合う。しかし、ほとんど照明をつけたままにする(非常に賢
明な)手法を取るならば、白い背景に暗いテキストの方がずっとうまくいく。周りに
ある程度光がある部屋では、暗い背景に明るい文字はひどい結果になるが、暗い色の
テキストに明るい背景の場合には画像の鮮明度をある程度維持してくれるだろう。
もっとよく知るには:
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8.フォントをうまく選ぶ

フォントは、それ自身の持つイメージがさりげなく伝わるため、フォント選びは慎
重に行うべきである。フォントの組み合わせは、プレゼンテーションのスライド全体
を通して一貫性を持つようにし、同系列のフォント(例えば明朝体と明朝体のボール
ドなど)は2種類以内にする。セリフフォント(Times New Roman などの飾りひげ付き
の書体、和文フォントでは明朝体)とサンセリフフォント(Helvetica や Arial など
の、ひげのない書体、和文フォントではゴシック体)の違いを知っておこう。セリフ
フォントは小さなサイズでも読みやすいと言われているが、スクリーンでのプレゼン
テーションではプロジェクターが比較的低い解像度であるため、ひげの部分(もしく
は細い部分)が消えてしまいがちになる。サンセリフフォントは一般的にパワーポイ
ントでのプレゼンテーションに最も向いているが、どこででも見かけるHelveticaフォ
ントやMSゴシックなどはなるべく避けるようにしよう。私はGill Sansフォントをよ
く使用している。このフォントはセリフフォントとサンセリフフォントの要素を持ち、
プロらしく見えるにもかかわらず親しみやすく“対話的”なのだ。どんなフォントを
選んだとしても、部屋の後ろからでもテキストが読めるようにしておくこと。
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| Timesフォント |
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Arial Black フォントと Arial フォント |
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9. ビデオや音声を使う 
ビデオや音声は適切に使うこと。ビデオクリップを使って具体例を見せると、情報を認知するプロセスがより促進される。これは人間の自然な学習過程である。アプリケーションを切り替えたりビデオレコーダを 操作したりせずに、パワーポイントでビデオクリップを再生することもできる。ビデオクリップを使えば、主張をよりはっきり示せるだけでなく、気分転換にもなるので、聞き手の興味を高める効果もある。音声(インタビューなど)を使うのも同様に効果的だ。ただし、パワーポイントに含まれる安っぽい効果音(スライドのアニメーションの時に流すホルンや拍手の音のようなもの)は使わないこと。アニメーションに過剰な効果音をつけると、聞き手の信頼を簡単に失ってしまう。
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10. スライド一覧で時間を費やす
マルチメディア学習理論における文節化原理(Segmentation Principle)によれば、情報を小さな固まりや区切りに分けて提示すると、人間はそれをより良く理解できるという。これをパワーポイントに置き換えて言えば、スライド表示画面を抜け出してスライド一覧を表示すると、プレゼンテーション全体の論理的な流れよくわかる。このように見て、さらに論理的で自然な流れのプレゼンテーションにする必要があれば、1つだったスライドの内容を2-3つに分けてみるのもいいだろう。この表示画面では、見る人の視点からプレゼンテーション全体の統一性を良く把握できる。また、削除すべき余分な画像データをより見つけやすくなり、視覚的にさらにすっきりとわかりや
すくなる。
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